AIを使う予定がない人も多いでしょう。
でも、パソコンを買うとき、昨今のAIブームの影響を受け、お手軽な価格のパソコンを探すのも一苦労となっています。
普通に考えると、必要な機能だけを選べば価格を抑えられそうなものですが、その機器に使われる部品の価格までは、購入者の使い方で変えることはできないんですよね・・・。
市場調査会社Omdiaが2026年10月9日に発表したデータでは、第3四半期の世界PC出荷台数は前年同期比21.2%減少しているのだそうで、この落ち込みの手掛かりになるのが、パソコン内部のメモリーやSSDにかかる費用。
メモリーとSSDが部品コストの約4割に
Omdiaによれば、メモリーであるDRAMと、ストレージであるSSDがPCの部品コストに占める割合は、従来の約15%から40%近くまで上昇しているのだそうで、そもそもパソコンを作るための部品代のうち、この二つが約4割を占めているということで、構成部品の費用がここまで高くなってしまうと、製品価格を維持するメーカーにも負担がかかってきます。
この数字は、パソコンの販売価格が15%から40%へ上がったというわけではなくて、あくまで部品コストの内訳であり、個々の製品がどれだけ値上がりしたかを示す数字とは区別が必要。
それでも、新しい機能を追加しなくても、製造に必要な部品の費用が価格を押し上げる要因になることは間違いないですし、Omdiaは、部品コストの上昇に伴う高価格化に対して、消費者が反応していることも出荷減の背景に挙げています。
メーカーには値上げの圧力がかかり、購入者には買い替えをためらう理由が生まれ、その関係を考えると、性能が向上すれば自然に買い替えが進むという見方では今回の市場縮小を捉えきれません。
半導体の利益と、パソコンの購入負担が並ぶ
PC市場が縮小するなか、部品を供給する側には利益を大きく伸ばす企業があります。
Samsung Electronicsが10月8日に発表した2026年第3四半期の業績見通しでは、会社全体の営業利益は107兆4,000億ウォン。前年同期の12兆1,700億ウォンと比べて約8.8倍になっていて、これは半導体部門だけの利益ではありませんが、PC出荷の減少と並べると、供給側と購入側の状況の違いが浮かび上がってきますね。
報道によれば、Samsungの半導体事業はAI向けメモリー需要の拡大で利益を生む一方、スマートフォンなどの事業は部品価格上昇によって収益を圧迫されているとされ、部門別の背景には確認の余地があるものの、部品を売る側の収益増と、その部品を使う側のコスト増が同じ企業内でも確認できます。
AIでは学習に加え、利用者の要求に応じて処理する推論にもメモリーが必要になるため、利用の拡大も需要を支えると考えられます。
こうした需要が続く状況では、高収益のAI向け製品へ製造能力や供給が優先されやすくなり、具体的な配分量までは分かりませんが、AI向け需要の拡大が供給を圧迫し、一般向け機器の製造コストにも影響するというつながりが見えてきます。
購入者がAI機能を必要としているかどうかは、この部品市場の動きとは全く別物で、AIサービスから直接恩恵を受けていなくても、パソコンの購入価格を通じ、その普及に伴う費用の影響を受けています。
買い控えだけでは説明できない出荷減
世界PC出荷の21.2%減という数字には、調達時期のずれも関係しているようで、メーカーは価格上昇を避けるため、上半期に調達を前倒しし、その反動が下半期の出荷に現れているようで、先に確保した分があるために後の出荷が減る動きと、高価格化で購入を控える動きが重なっているんですね。
出荷減のすべてを消費者の買い控えと見なしたり、AI需要だけに原因を求めたりすると、この時間差を見落とします。
購入する側から考えると、今のパソコンで必要な作業ができているなら、たとえ新しいAI機能が増えたとしても、高い買い替え費用に納得することはできませんし、今後3〜12カ月では、現在の機器を長く使う、必要な性能に絞る、旧モデルや整備済み製品を選択肢に入れる人が増える可能性があります。
メーカーも、AI機能を充実させた高価格モデルと、基本機能を重視したモデルの位置付けを見直す余地がありそう。
この見通しは、AIデータセンター向け投資とメモリー供給の逼迫が続くことが前提となっており、増産やAI投資の減速によって需給が緩めば、価格上昇が収まり、買い替え需要が回復する可能性も出てきます。
パソコン選びでは、AI機能が自分に必要かという問いに加え、その機能の普及を支える部品需要が購入費用にどう関係するかという視点も生まれています。
技術が進歩して便利になることと、機器を買いやすくなることは、常に同じ方向へ進むとは限りませんし、AIとの距離を自分で選んでも、買い替え費用にはその普及が影響し得るのです。
思考を外に出せ。AIを、自分の武器にする。

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